高峯のあが出てくる話。

アイドルマスターシンデレラガールズのクールアイドル高峯のあの話。

孤高のグルメ②東京都世田谷区の唐揚げ定食

時間や社会に囚われず幸福に空腹を満たす高峯のあの話。


(笹塚で仕事を終えた私は何とは無しに京王線沿線を歩いていた。都会とも言えず、微妙な下町感が楽しい。新宿まで歩くのはさすがに……と思っていたらどうやら真逆に歩いていたらしい。電車に乗って引き返すか……が、)


(おなかが……すいた)


(よし。駅も近いし商店街に入れば食べ物屋はいくらでもあるだろう。焦るな……今の私は空腹なだけだ。)

(何とも言えない古びたというか汚らしい店が目に入ってきた。何だったかバラエティ番組でこういった外観の店を巡っているものがあったな……と思い出す。よし、ここに入ってみよう)

「いらっしゃい。」

(昼時は過ぎていて人はまばら。狭い店内のカウンターに腰を下ろすとメニューを見る。豚スタミナ定食、生姜焼き定食、唐揚げ定食、肉野菜炒め定食……入口の看板には生姜焼き定食が書いてあったがここは……)

(注文しかけて張り紙に気づく。

「ご注文は順番にこちらからおうかがいするまで少々お待ちください」

危うくルールを破る所だった……。郷に入っては郷に従え、だ。)

「ご注文は?」

「……唐揚げ定食を。」

(程なくして定食がやってくる。唐揚げに、キャベツ、ご飯に、味噌汁、生卵。この生卵というのが嬉しいではないか。唐揚げとキャベツの皿には個包装のマヨネーズがついている。)

「記憶しろ…この味を…」

(揚げ物にマヨネーズ。高カロリー。学生やサラリーマンにはこうした定食が安く食べられるというのは嬉しいことだろう……。)

(卵かけご飯、一時期急速な勢いで流行ったな……)

「May the Meal be with you」

(店を出ると人だかりが出来ていた。学生たちがどうやら遠巻きに私を携帯で撮っているようだ。すり抜けて帰ろう……)